私が経営コンサルの依頼を受けた場合、その会社の組織診断を行い、うまくいっていないメカニズムを見つけてから、組織の進化プログラムを始めます。
その際に必ず、その企業の経営の基軸(経営理念やミッション(使命)、ビジョン、行動指針など)について聞くのですが、額に入れられ壁にかかっていたとしても、語れる人はまずいません。
会社の基軸は、企業経営の軸となるものでその軸がしっかりしていないと、独楽が回らないように企業の活動はぶれてしまいます。ましてや、環境が激変して実行スピードが益々求められる状況にあって、高速で回ることはできません。
なぜ、企業が最も大切にすべきことが飾り物になってしまっているのでしょうか?
基軸は、トップと社員全員に意識の中にあり、行動によって現実化するものですが、なぜ、トップがそれを意識し、行動に移さないのでしょうか?
一つには、基軸の重要性とその力が理解されていないこと。
二つ目は、経営者が会社だけでなく、自分自身の人間経営や家族の経営においても同様に 「大切なものが何かを認識しようとせず、また、認識してもそれを大切にしていないこと」 が原因のように思えます。
経営という字は、経(縦の力:理想と現実をつなげる力)、営(横の力:日々の営みに展開し現実化する力)を表しています。 基軸を明確にして、意味と価値を全員で理解・共有化、浸透させずして、日々の行動に反映することはありません。特に、トップ、幹部がそれを率先体現し模範を見せることで、社員はそれに賛同して動くようになり、基軸に沿った企業風土が醸成されていきます。
本気で会社を成功させたいなら、
この時に、これまでの不信感が噴き出てくることがありますが、トップが心から謙虚になり、真摯に向き合えば、メンバーもそれに合わせて真摯に取り組んでくれます。まさに、トップの「その場の在り方」が重要です。 注意点は、絶対にトップが一人で勝手に作らないこと。参画なくして実行の本気なしです!
(次回は、私自身の事例をもとに、「経営の基軸の力」を話します。)
理事 五十嵐静雄